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第7話 侍女シェラ

Author: みだん
last update Petsa ng paglalathala: 2026-08-29 04:50:30

娘は、私の三歩手前で止まった。

息を切らせていたが、乱れていたのは呼吸だけだった。

走ってきたはずなのに、髪も、襟元も、エプロンの結び目すら崩れていない。

「お待ちください」

もう一度、彼女は言った。

年の頃は二十歳前後だろうか。

灰がかった栗色の髪をきっちりと結い上げ、公爵家の侍女服を着ている。

目鼻立ちは整っているが、表情がほとんど動かない。

そういう顔立ちの人間を、私はもう一人だけ知っている。

鏡の中に。

「……あなたは」

「ノクスハイム家に仕えております、シェラと申します」

彼女は膝を折って礼をした。

教本の挿絵のような、寸分の狂いもない礼だった。

「お嬢様の御身の回りのお世話を、わたくしが仰せつかりました」

「聞いていませんが」

「先ほど決まりましたので」

シェラと名乗った侍女は、平然と言った。

「旦那様と奥様より、書状を預かっております。お嬢様おひとりで異国へ発たせるわけにはまいらぬ、と」

私は、鞄の紐を握りしめた。

昨夜、父と母には会えなかった。

会わせてもらえなかったのではない。

私が、会わないことを選んだ。

顔を見たら、何か言ってしまいそうだったからだ。

言ってはい
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